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1
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 00:53:05.27
ID:aomPaYR60
勇者が魔王を倒しに行ったということで安心していたのだが、
どうやら直接対決で殺されたらしい。
今は葬式の真っ最中だ。
国を挙げて一人の勇者に期待してただけあって、参列者の空気は重い。
「今、魔王軍が攻めてきたら終わりだ」とか聞こえる。
抑揚の無い坊主のお経、すすり泣く声。式場はにわかにざわついている。
……死んじまったのか、サイラス。
こりゃ本気でガルディア王国も終わりかもしれんね。
どうするんだよ。
2
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 00:54:40.03
ID:HiCtHvW40
グレン「サイラァァッァァァァァァァアス」
3
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 00:58:55.47
ID:aomPaYR60
俺はガルディア城の厨房で働く、しがないフリーターだ。
魔王軍が攻めてくる、とか言われてもピンと来ない。
だが、殺されたサイラスとは小・中学校で何度か同じクラスになったことがある。
運動神経抜群で、女の子にモテモテだった。
そんなサイラスが殺されてしまったなんて……
……いや、せいせいしたとか思ってないぞ?
4
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 01:02:40.23
ID:aomPaYR60
厨房の空気も重い。
みんなが悲壮感に溢れていたころ、喜ばしいニュースが飛び込んできた。
行方不明になっていたリーネ王妃が見つかったのだ。
サイラスの話題など一瞬で消し飛んでしまうほどのめでたいニュースだ。
厨房も一気に忙しくなる。
お祝いの料理を振舞うためだ。
三日三晩続くお祭り騒ぎの裏には、三日三晩休めない料理人がいることを覚えていて欲しい。
5
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 01:03:47.21
ID:ck/MXG/g0
続きは!?
6
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 01:06:41.60
ID:bbNrG3fQO
こう言っては何だが、ガルディア国も勇者サイラスも、いかにも滅んだり死んでしまいそうな名前な予感。
あと何年後かに新しい勇者が現れそう。
そっから本編だな
7
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 01:08:37.13
ID:aomPaYR60
丸一日以上眠りこけたあとベッドから体を起こすと、
隣で見たことも無い連中が眠っていた。
赤い髪の男と、紫の髪の女だ。新入りだろうか。
しばらく見ていると女の方が目を覚ましたので話をすることにした。
「あんた、新入りか?」
「え? ああ、ちがうの。ベッドを借りていただけ」
ここのベッド、借りられるのか。
「あ、そうそう。このお城のあたりに何か怪しげな場所とかって無い?」
怪しげな場所に城なんか建てねーよ。
と言い返すと女は笑いながらさらに質問してきた。
「ポツンと一軒だけある家とか」
8
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
sage
2006/10/18(水) 01:08:49.03
ID:rzjvhg4eO
スレタイを見て魔王はオルステッドだろ?って書こうとしたのに・・・・
9
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 01:08:59.99
ID:bbNrG3fQO
>>4
話まで消し飛んだサイラスが気の毒
10
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 01:13:00.70
ID:aomPaYR60
「この城こそポツンと一軒だとは思うけどな」
城下町までモンスターの出る森を抜けなきゃいかんとはどういうことだろう。
だがまぁ、もう一つ心当たりがあるので教えてやった。
「あとはマノリア修道院だな。別に怪しくはないけど」
「ありがとう。それだけ分かれば十分だわ」
言いながら女はヘルメットとメガネを装着した。
女ライダーだろうか。
「ほら、起きなさいクロノ! 目的地がはっきりしたわよ!!」
11
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
sage
2006/10/18(水) 01:14:51.17
ID:/sKu3riJ0
期待しとく
12
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 01:16:07.07
ID:aomPaYR60
バタバタと二人は出て行った。なんだったんだろう。
とにかく俺は仕事をこなさなければ。
死んでしまったサイラスは勇者として働いた。
王様は王として働いている。
兵士は兵士として。料理人は料理人として働く。
フリーターだけど。
さっきの連中は何をしている連中なのだろう。
気になりながら包丁で指を切ると料理長にしこたま殴られた。
13
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 01:21:26.12
ID:aomPaYR60
この城の構造はおかしい。
階段が多いのはまだいいのだが、どこにもスロープみたいなものがない。
そんな中、台車を押して王妃様の食事を運ぶのは困難を極める。
俺のようなフリーターが王族への料理を運ぶのにはそういうわけがある。
だが、おかげで王妃様の側近の人たちとは割と仲がいい。
「王妃様、帰ってきてよかったっすね」
そんな風に気軽に話しかけると、側近の人たちは顔を曇らせた。
「ええ、でも先ほどからずっとふさぎこんでらっしゃるみたいで……」
「ふさぎこんで?」
「よびかけても、お返事されないのですよ」
「疲れて寝ちゃってるだけじゃないですか?」
14
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 01:23:36.73
ID:bbNrG3fQO
話の腰を折りまくるが、
王宮で勤めるのは一般的にエリートコースなので、フリーターなんてを雇うか?
ごめんね。
15
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 01:25:59.14
ID:aomPaYR60
「でも先ほどいらした客人の方とは談笑されてたようなんです」
「客人?」
「赤い髪の男性と、ヘルメットをかぶった女性が」
あいつらか。なにやら怪しげな連中だったが。
「まぁ、とにかく食事は置いていきますね」
「ええ。おつとめごくろうさま」
台車を持ち上げながら階段を下りて考える。
さっきの連中が王妃様に何かしたんじゃないのか?
それでふさぎこんでしまったとか?
うーむ。腹は立つが、特にどうすることもできないな。
厨房に戻ろう。
16
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 01:28:54.97
ID:aomPaYR60
>>14
リーネ王妃の客人がなぜか兵士やらと一緒のベッドで寝るような城なんでw
一般的ではないだろうという解釈してます。
続き頑張る。
17
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 01:32:12.12
ID:PXl8oSDZO
うわー明日の朝までに残っててくれ!!
18
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 01:34:27.92
ID:aomPaYR60
厨房に戻ると変なやつが騒ぎを起こしていた。
「今こそ魔王軍に対して人民が立ち上がるときが来たお!」
両腕を広げて熱弁する男に、職員一同困惑の色が見えた。
「勇者サイラス様が倒れた今、一致団結して魔王軍を駆逐するお!」
「……なんすか、あいつは」
そばにいた先輩に尋ねると、先輩は困った顔をして答えた。
「最近雇ったんだが、どうにも変なやつなんだ。どうにかしてくれ」
「どうにかって……」
延々と熱弁を振るう謎の男。
正直俺もどうするべきか迷ったが、下っ端の俺がどうにかするのが早いだろう。
「ちょっとこっち来いや」
19
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 01:37:50.61
ID:Zw6+JPx/0
wktk
20
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 01:41:37.45
ID:aomPaYR60
空いていた部屋に謎の男を引きずってきて、閉じ込めようとしたがうまくいかなかった。
とりあえず適当に話を聞いて帰ってもらおう。
「僕の名前はブーンだお( ^ω^)」
聞いてません。
とにかく城で騒ぎ立てられると迷惑なんですが。
「魔王軍が攻めてきてるお」
「知ってるよ。だが俺たちに出る幕は無い。ここには兵士がいるだろ」
「勇者様が殺された相手に、兵士が何の役に立つお?」
「数がいるだろうが。サイラスだってただの人間だ。超人じゃない」
運動会で100m走2着だったサイラスの姿を思い出す。
「だからこそ魔王に対抗する手段が必要だお。僕はそれを知っているお」
21
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 01:48:42.41
ID:aomPaYR60
魔王に対抗する手段? ほほう、それは興味深い。
「興味深いが俺には関係ない。兵士にでも教えてやれよ」
「それは無理だお! 僕が見込んだからこそ君に教えるんだお!」
「お前みたいな不審者に見込まれても嬉しくねーよ」
突き放して厨房に戻ろうとする俺をブーンは必死で引き止めた。
「この力を伝承しないと魔王に滅ぼされるお!」
「うるせぇ! 知ったことか!
俺たちには魔王を倒す力なんて無い。だが生きている間ずっと絶望するのも嫌だ。
だからせめて美味い飯食って笑ってたいんじゃねーか!
俺はそのために働いてるんだ。夢見てる時間は無いんだよ」
それに、夢見る力も資格もない。
それを持ってたのはお前だけだったのに。
なんで死んだんだ? サイラス。
22
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 01:53:59.52
ID:aomPaYR60
「夢見る力を与えるお」
興奮して怒鳴りつけたせいか、かえってブーンは冷静に語りかけてきた。
「君は正しい力を持っているお。だから僕はこの力を伝授するお」
言い終わるとブーンはせまい室内を走り始めた。
俺の周りを、グルグルと。両腕を広げているため動ける余地が無い。
「この部屋を時計回りに100周すると君に力が宿るお」
かなり辛かったようで、終わった後ブーンは当然のように嘔吐した。
23
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 01:57:36.69
ID:1exrro7l0
wktk
24
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 01:57:54.22
ID:aomPaYR60
謎の儀式が終わり、吐しゃ物の処理も終わった後、ブーンは去った。
「ブーンはクールに去るお」
とか言い残して。なんだったんだあいつは。
とりあえず厨房に戻ろう。仕事サボって相手してたわけだし。
……料理長にサボるなってブン殴られたけど、理不尽だとか思ってないぞ。
25
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:00:31.28
ID:6GYqkm/d0
>>24
http://jun.2chan.net/b/src/1161098949049.jpg
26
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
sage
2006/10/18(水) 02:02:34.08
ID:lhLArHk0O
>夢見る力
ソレがまさかのび太ばりの高速昼寝スピードだとは
この時誰も予想していなかった
27
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:03:24.04
ID:aomPaYR60
しばらく普通に勤務していると、またさっきの赤と紫が顔を出した。
「ちょっとひとまず休憩にね。当たってたわよ、マノリア修道院」
女の方が話しかけてくるが、正直それどころではない。
この女の非常識度合いは今まさに最高潮に達したといってもいい。
女の背後には見たことも無い生命体が突っ立っていた。
……いや、見たことはある。カエルだ。
だがただのカエルではない。特大サイズだ。体長1メートルどころではない。
1メートル50センチはある。
談笑してくる女の目の前で俺は卒倒しそうになった。
28
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:07:51.37
ID:aomPaYR60
「お城のほうで、何か騒ぎとか起こってない?」
そんな女の問いかけに俺は即答した。
「そこのカエルが大騒ぎの元凶だが」
「ああ、カエルは別にして」
「じゃあ特に無いな」
そう、とつぶやいて女は厨房をあとにした。
一言、「騒ぎが起きる前にカタはつけるから、安心してね」と言い残して。
できれば城には立ち寄らず、直接保健所に行って欲しかった。
29
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:14:40.51
ID:aomPaYR60
カエルショックからガルディア城が立ち直れずにいる間に、
更にショッキングな出来事が起こった。
なんと先日発見されたリーネ王妃が偽者だったと言うのだ。
加えて大臣までも偽者と入れ替わっていたということで、国中が上から下への大騒ぎとなった。
そんな中で、俺は連中と話す機会を作ることができた。
「あんたらが王妃様を助けてくれたんだな」
「ええ。というか、ある程度私たちの責任だったし」
「よくわかんねぇけど、ありがとう」
捕らわれの王妃様を助ける、か。
案外サイラスの後を継ぐ勇者はこいつらなのかもしれないな。
カエルはまだいた。
早く、早く保健所へ……!
30
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:17:48.53
ID:aomPaYR60
思いのほか平和な日々が続いていた。
魔王軍が手の届きそうなところにいるっていうのに、不自然なほどだ。
だが拒否する必要も無い。ぬるま湯につかるように、平和は受け入れるべきだ。
ガルディア城の厨房は今日も忙しい。
勇者サイラスを弔う暇さえないことを、俺は少しだけ残念に思ったりもした。
31
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:21:12.07
ID:aomPaYR60
……ブーンは走っていた。
走りながら世界を見つめていた。
……見つめるまでもない。何が起きているのかは分かる。
「魔王軍が攻めてくるお。この国を守れる人間がいないお」
心当たりはある。だがあの拒絶を覆すことができるだろうか?
32
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:23:11.42
ID:aomPaYR60
小説風味のを書くのって意外と疲れるもんですね。
33
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:23:28.51
ID:l8ds+C1V0
がんがれ
こっそり見てるから
34
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:26:25.53
ID:YrhcQrwc0
俺も見てるんだぜ
35
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:30:30.10
ID:aomPaYR60
……王妃様と大臣が本物に戻ってから数日が経った。
大臣は「裁判所を作る」などと声高に宣言していたが、魔王軍の脅威に晒される昨今、
そんな経済的余裕がこの国にあるはずもない。
貴重な税金はひたすらに軍事費に充てられていった。
そんな俺は今修行中だ。
もちろん魔王を倒すための剣の修行などではない。
料理の修業である。
料理長の指導で「かつらむき」の練習をしている。
だいこん、きゅうり、にんじんなど丸くて長いものを5~8cm程度に輪切りし、
皮をむくようにできるだけ薄く、長く、くるくる回しながら剥く技だ。
料理長のカツラを剥いたらまな板の角で殴られた。
36
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:34:42.67
ID:YrhcQrwc0
俺のちんk・・・いや、なんでもない、続けてくれ
アッー!!!
37
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:36:37.62
ID:l8ds+C1V0
>>36
もちつけwwww
38
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
sage
2006/10/18(水) 02:36:53.71
ID:/sKu3riJ0
俺も見てる
39
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:36:53.86
ID:J0lqHT3f0
がんばれおまえが力尽きるまでおれは起きてる
40
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:37:07.31
ID:aomPaYR60
また数日が経って、俺は休みを利用して町に遊びに行くことにした。
トルースの町は大きなところではないが、城よりは呑んでいて楽しい町である。
酒場に顔を出すと見知った顔があった。
「久しぶりだお」
「ブーンか」
ブーンの手招きに、あえてすんなりと乗って俺はやつの横に座った。
「よお、魔王も来なくて平和だよな」
挑発するように俺は言った。
「今のところはそうだお」
ブーンはグラスをもてあそびながらつぶやいた。
「でも近いうちに魔王軍が攻めてくるお」
41
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:39:25.82
ID:sHVXlnmnO
これおもろいわ
42
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:40:16.46
ID:wYzfFz9/O
(◎-◎;)
43
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:42:24.72
ID:WHiyFbiXO
今北期待
44
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:43:24.35
ID:aomPaYR60
「お前そればっかりじゃねーか。『魔王軍が攻めてくるお!』」
口真似をしたことに腹を立てたのか、奴の口調が少しきつくなった。
「ふざけてる場合じゃないお! 今度の進軍はビネガーが噛んでるらしいお」
「…………ビネガーが?」
これはちょっと聞き捨てならなかった。
ビネガーといえば魔王軍の3幹部の一人。確か参謀長だったはず。
本人がどこぞで公演会を開いていたときに言っていたから間違いないはず。
「ビネガーが陣頭指揮をとるっていうのか?」
「おそらくそうだお」
ブーンがグラスを口に運ぶ。
そのときになって俺はまだ飲み物さえ注文していないことに気付いた。
……それどころではないが。
「今まで魔王軍は真剣に攻めてきたことはないお。
せいぜいあちこちでチクチク暴れるだけ。でも今回の狙いは一ヶ所だお」
ブーンの言うことが正しいとすれば、答えは一つだろう。
「魔王軍は、ガルディア城を攻め落とす気だお」
45
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:50:00.69
ID:aomPaYR60
「冗談……だろう?」
にわかには信じられない話だった。
こういった物騒なニュースは自分とは関係ないところで起こるからこそ、現実感がある。
こんなに身近では、逆に信じられない。
……マスターがそこで注文を取ってきたので、ウイスキーを頼んだ。どうでもよかった。
「前に話したとおり、君には正しい力があるお。それを使うときが来たお」
「正しい力?」
あのときはただ、こいつを追い出そうとしてまともに取り合わなかった言葉を再度聞く。
俺はその真意を尋ねた。
「正しい力、それは何なんだ?」
「教えなくても、分かっているはずだお……」
分かるわけがねーだろ。
だがブーンはそれきり黙りこんでしまった。
46
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:54:06.96
ID:GzK0X2rGO
今追い付いたわくてか
47
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:54:23.35
ID:+7TpUEla0
BE:?
-2BP(0)
地獄で俺に詫び続けろオルステッドォーー!!!
48
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:55:55.12
ID:esfNN7FN0
今時魔王か…
49
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:55:57.20
ID:aomPaYR60
結局俺はブーンよりも先に店を出た。
正しい力を使うときが来た……それは、何のために?
時刻は真夜中に近かった。それなのに俺は城に戻ることも宿に泊まることもしなかった。
ガルディアの森で、夜行性のモンスターどもと戦う。
さほど傷を負うこともない。
普通に生活するうえで、ここらに出没するモンスターは障害になりえない。
それはこの国が平和な証拠だった。
だが、魔王が攻めてくればそれも変わるだろう。
何もかもが変わってしまうのかもしれない。
一心に、手にした武器を振るいながらモンスター相手の修行をする。
50
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 02:56:30.30
ID:sqTJj/jI0
ttp://yaplog.jp/prettyx02/archive/42
世界一の美女ぴんくたんとみるくたん♪
愛読書は森鴎外の「キタ・セクスアリス」w
おまいらコメントに書き込みありがとうw
きっとおっきするおwww
51
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 03:01:46.66
ID:1FyCtvmmO
塚さ金半分になって生き返るんじゃね!?
勇気ってそうゆう生き物だろ
52
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 03:01:49.05
ID:aomPaYR60
クロノってマイナーなんだろうか……
俺の書き方が分からないだけ?
53
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
sage
2006/10/18(水) 03:03:29.09
ID:/sKu3riJ0
クロノはスーファミの名作の一つだろ
>>1
読んだだけでわかったし
54
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 03:04:43.15
ID:+7TpUEla0
BE:?
-2BP(0)
>>52
普通に分かる
55
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 03:08:06.38
ID:aomPaYR60
「なにやってるんだ、俺は……」
明日は仕事が休みだが、それにしても意味がない。
こんなところで弱っちいモンスターを小突いて、少々強くなったところで、
魔王に敵うはずもない。
「帰ろう……」
城に向かい歩く。
森をあっさりと抜けると、そこに人影が見えた。
「誰だ……? こんな時間に」
こんな時間に出歩いているのは自分も同じことなのだが、
体格から見るに、その人影は女のようだった。
そばまで近寄って声をかけようとして、俺は絶句した。
「リーネ……王妃様?」
56
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 03:09:27.39
ID:WHiyFbiXO
しかし訳もなくモンスターを殺すのって虐待だよな
57
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 03:14:57.56
ID:aomPaYR60
「どなた?」
王妃様がこちらのことを知っているわけもないので、自己紹介をしておく。
城で働いていると言うと、王妃様の気配が安心したものに変わった。
「城のすぐそばとはいえ……危ないですよ。こんな時間に」
「そうですね……」
悲痛な表情を浮かべる王妃様を見て、なんとなく不安がよぎった。
「なにかあったんですか?」
「はい……魔王軍が、この城を攻めると宣戦布告を」
宣戦布告……
恐ろしい言葉だった。思わず背筋が凍る。
「今、兵舎は活気付いています。防衛線をゼナンの橋に設定し、何としても魔王軍を阻止すると」
「いいことじゃないですか」
そうなると俺の仕事は後方支援となる。
兵士に美味くて腹がふくれて力がつくものを食わせてやらないと。
休日返上だ。
「……私は不安なのです。だから……」
58
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 03:15:27.59
ID:rLhoBoiwO
今は中世っぽいけど原始にはいきますか?
59
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 03:17:56.19
ID:RtZvvw+90
やったこと無いから、すぐには分からなかった。
クロノであれ?と思った。カエルで確信した。
この話はクロノトリガーそのままなのか?それとも世界観だけ?
60
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 03:22:12.87
ID:aomPaYR60
「だから……?」
顔を伏せた王妃様の言葉を、思わず促してしまった。
失礼なことだとは分かっていたが、今さら訂正するのもおかしい気がした。
王妃様は、しばらくの沈黙の後に続けた。
「だから、こうして祈っていたのです。あの人が力を貸してくれますようにと」
「あの人?」
「サイラスです。彼は素晴らしい人でした。勇者と呼ぶにふさわしい……」
「そうですね。俺も、友人として鼻が高いです」
何気ない一言だったが、王妃様は興味を持ったようだった。
「まあ、サイラスと友人だったのですか?」
「はい。それなりに親しかったです」
また沈黙。俺はただ話すことがなくなったのだが、王妃様は何か言葉を選んでいるようだった。
「……亡骸が無いため彼のお墓を建てることができません」
「はい」
「とても残念です。せめて彼の無念を晴らしてあげたい」
「俺もです」
「ですから……決して魔王軍に屈したりはしないでいましょう。あなたも、私も」
穏やかに微笑んだリーネ王妃様は美しかった。
俺たちは少しいびつに並んで、城に入った。
61
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
sage
2006/10/18(水) 03:24:33.52
ID:/sKu3riJ0
サイラスの友達ってことはグレンのことも知ってるのかね
それとも年下の個人的な友達までは知らんのかね
62
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 03:25:45.69
ID:aomPaYR60
>>58
原始はやれそうだけど、そうなると相当最後まで……
>>59
流れはそのまま踏襲します。主人公の男が話に絡む分だけ変わります。
63
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 03:27:28.75
ID:jqh2ZxfDO
クロノトリガー懐かしいな
魔王好きだったなぁ
64
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 03:27:32.73
ID:YrhcQrwc0
>>56
まぁあちらさんから襲ってきてる訳だし、降りかかる火の粉は振り払わんとな
65
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 03:34:59.75
ID:aomPaYR60
城に戻ると、中はバタバタと慌ただしかった。
何せ魔王軍と真正面から衝突しなければならないのだ。
だが俺はそんな喧騒から離れて布団にもぐりこんでいた。
明日に備えて体力を回復させておきたいのもあるし、気持ちを整理したくもあった。
(ブーンは言った。俺は正しい力を持っていると)
それが何なのかは分からない。
(王妃様は言った。サイラスの無念を晴らしたいと)
これは分かる。
王妃様は復讐を望んでいるのではない。
ただ、サイラスが願ったであろう平和な世界をであって欲しいのだろうと。
サイラスは平和な世界を手に入れるために魔王と戦い、死んだ。
あいつの無念を晴らすには、この生活を、守らなければ。
(だが俺に何ができるだろう……しがない厨房勤めの俺に)
両手を見る。武器を振り回したせいか、マメができていた。
66
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 03:42:09.81
ID:aomPaYR60
夜明けと共に目が覚めた。
俺は急いで準備をして厨房に向かった。すでに多くの先輩が動き回っている。
というか、夜通し働いていたのだろう。
「遅いっ! 何してた!?」
怒鳴りながらも料理長が殴りかかってこないのが事態の緊張を語る。
すぐさま俺は持ち場についた。
……厨房を駆け巡る噂話によると、すでに魔王軍とガルディア軍の戦いは始まっているらしい。
場所はゼナンの橋。昨夜王妃様が言っていた場所だ。
マノリア修道院の南にあるこの橋は、南の大陸とこの大陸をつなぐ唯一の橋で、
そこさえ押さえれば魔王軍の陸からの進行を阻止できる。
逆に、そこを突破されると魔王軍の蹂躙を許してしまう。
防衛線ではなく、最終防衛線と言えた。
67
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 03:48:32.34
ID:aomPaYR60
続々と城から兵士が出て行く姿を見て寒気がした。
「増援が多すぎないか……?」
本来城を守るためにいる兵士さえも動員している。
もしかすると、状況は良くないのかもしれない。
緊張だけが高まっていく中で、非戦闘員だけが城に取り残される。
「これで橋が突破されたりしたら、どうなるっていうんだよ……」
不安がよぎるがどうしようもない。与えられた仕事をこなすのみ。
なのだが胸騒ぎがする。
バタバタと足音。誰が走っていてもおかしくない状況だが、
走りこんできた人物の姿を見て、俺は驚いた。
いつかの赤髪男と、ヘルメットメガネ女だった。
68
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 03:49:37.72
ID:eRyezGIqO
おもろいわ
69
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 03:51:53.80
ID:hbfZ/rPNO
おもすれー!
70
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 03:53:46.81
ID:wcEa5HTNO
俺1時くらいからずっとオナニーに集中してて今から寝るとこ。馬鹿だ…
71
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 03:54:59.03
ID:aomPaYR60
連中(えらくずんぐりした、光沢のある奴が増えていた)は俺に気付かなかったようで、
真っ直ぐに料理長の前に走りこんだ。
「補給物資が必要なんです!」
そう言った。正直、待っていましたと言いたいところだった。
俺たちはそのためにずっと準備していたんだぜ?
お前らが運んでくれるんなら大助かりだぜ。
だが女が兵士長の名前を出した瞬間、料理長は信じられないことを言った。
「あいつに食わせる食料はねえ!!」
72
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 03:56:40.75
ID:hbfZ/rPNO
wktk
73
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:02:14.04
ID:aomPaYR60
いやいやいやいやいや!!
あんたさっきまで張り切ってやってたじゃん!
そりゃ兵士長とうちの料理長が仲悪いのは有名な話だけどさ!
しばらく女と料理長が言い争いをしていたが、結局料理長が折れずに、女は諦めて行ってしまった。
「……何やってるんですか」
「あ?」
思わず口を突いて出た。料理長の機嫌は悪い。限り無く悪い。極悪といってもいい。
だが言わなければならなかった。殴られようとも。
「俺たち……なんのために働いてるんですか」
「城の人間に飯を食わせるためだ!」
即答してくる料理長に即答し返す。
「食わせる人たちを守るのも、俺たちの仕事ですよ!」
「それは兵士どもの仕事だ!」
「彼らを助けるのが俺たちの仕事です!」
一瞬料理長が言いよどんだ隙にまくし立てる。
「兵士長と仲が悪いのかもしれませんが、俺たちが仲間割れしてる場合じゃない!
魔王軍はすぐそこまで来てるんだ!」
黙ったままの料理長に叫び続ける。
「俺たちが守らないで、誰がこの国を守るんですか!?」
74
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:03:32.74
ID:8HGPPo3lO
追い付いた
かなりwktkだけど眠い…
75
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:03:37.08
ID:kgJBZ3n9O
wktk
76
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:04:19.02
ID:Chzr86v50
クロトリ懐かしいな
昔ED後に進化したラヴォスが現れる設定の恥ずかしい小説書いたりしてたっけ……
77
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:04:21.54
ID:uCkzI0wrO
元ネタは?サイラスって聞いたことあるが出てこない
78
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:04:46.85
ID:eRyezGIqO
>>77
>>76
79
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:06:36.78
ID:aomPaYR60
厨房に静けさが訪れた。今日が始まって以来だったかもしれない。
「……お前の言うとおりだな」
だが料理長が口を開いたのはすぐだった。そして何かを取り出して、連中を追いかけた。
「お前ら待ちな!」
料理長が呼び止めると連中は振り返った。料理長は手に持ったものを渡す。
「そいつは『ハイパーほしにく』だ。それさえあればたちどころに満腹ってもんよ」
「ありがとうございます!」
連中は走り去った。
俺たちは呆然としていた。
朝からの重労働はなんだったんだ。
80
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:06:52.02
ID:uCkzI0wrO
黒の鳥がーか。
81
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:08:17.16
ID:8HGPPo3lO
>>76
kwsk
82
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:09:56.44
ID:TMQ0MXuUO
カエル「俺はこのグランドリオンで奴を倒す!」
リーネ「カエルーーーーーーーーーーー!!1」
83
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:12:26.86
ID:aomPaYR60
たかだか干し肉に俺たちの労働の意味を根こそぎ持っていかれて意気消沈もいいところだが、
とりあえず補給物資は託せたので、休憩をとることにした。
「さっきの奴らって、リーネ様を助けてくれた連中だよな?」
「そっすね」
先輩と雑談したりもする。
魔王軍がガルディア軍を壊滅させたりしないかと、内心震えながら。
「そのときにモンスターを倒したりしたらしいし、強いだろうな」
「そっすね」
連中は強いだろう。そしてきっとガルディア軍に加勢してくれるだろう。
心配することはない。きっと、何一つ。
そうさ、正しい力がどうのこうの。俺には関係ない。
「うっ、うわああああああああ!?」
料理長の悲鳴が、響き渡った。
84
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:13:18.57
ID:M7dfoDc5O
ぬこ集めに没頭したな
85
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:14:50.88
ID:uCkzI0wrO
ルッカがアラレちゃんにしか見えなかった
86
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:15:40.12
ID:8HGPPo3lO
PSバージョンのEDのカエルがベジータに見えて仕様がない…
87
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:17:56.21
ID:RR123V3U0
ていうか、OPの魔王が鎌持ってニヤリのあのシーンがどう見てもベジータにしか見えない
88
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:20:06.89
ID:aomPaYR60
瞬間、厨房に戦慄が走った。
魔王軍が遂にガルディア城に到達してしまったのか。
「何事ですか!」
「し、しまった……」
料理長の様子から判断すると魔王軍は関係無さそうだ。
となると、一体何が起こったというのか。
「さっき渡した『ハイパーほしにく』……カビが生えてたほうだった……」
震える料理長の手には干し肉が握られている。
おそらくこれが本物のハイパーほしにくだろう。
「どうするんですか!? 戦場でカビ生えたもん食わす気ですか!」
「あいつらが手を出す前に早くこっちを届けないと……」
逡巡が厨房を覆った。
兵士はすっからかん。思わぬ手助けももう来ない。
誰がハイパーほしにくを届ける?
「俺が行きます」
89
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:22:06.08
ID:YrhcQrwc0
料理長www
90
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:24:07.38
ID:aomPaYR60
決めていたことだった。
この身を捨ててでも、戦場で戦おうと。
王妃様の悲痛な表情が、俺に決断を促していたから。
麻袋にハイパーほしにくを。手には武器を持って城を出る。
森のモンスターたちと遊んでいる暇はない。全て無視する。
そのまま走りに走って、ゼナンの橋に到着した。
見たものは、惨状だった。
91
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:28:15.20
ID:8HGPPo3lO
たのむからあしたのひるまでのこしてて
92
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:28:34.75
ID:xQnE23co0
クロノトリガーも知らないし
明日面接だが眠れない
俺がきましたよっと
93
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:30:51.56
ID:aomPaYR60
ガルディア王国が誇る兵士は軒並み、地に伏していた。
気を失っているものからうめき声をあげているものまで様々だったが、
豪勢な鎧を着込んだ男を発見して俺は駆け寄った。
「兵士長! 大丈夫ですか!」
「うう……ハイパーほしにくを食べた途端腹が……」
「カビ生えてましたから……」
間に合わなかったようだ。
どちらかというと胃腸薬を持って来るべきだったかもしれない。
そんな後悔をしていると、橋の上から汚らわしい声がした。
「ふはあははは! 魔王軍に楯突こうとは愚かな人間よ!」
ビネガー。
でっぷり太ったその姿は見ただけで分かる。魔王軍の参謀だ。
だが今衝撃を受けたのはビネガーではない。
その少し手前にいるモンスターだった。
一言で説明するならば、巨大な骸骨だった。
その骸骨が、赤い髪の男と戦っている。
女と金属は倒れていた。事実上一対一で、男は苦戦しているようだった。
94
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:32:03.63
ID:eRyezGIqO
金属は倒れていたwwwwwww
95
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:34:46.46
ID:G3QohBpe0
貴様はロボを舐めたッッ!!
96
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:35:39.73
ID:M7dfoDc5O
つよくてニューゲームじゃないのか!?
97
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:35:58.56
ID:aomPaYR60
「サンダー!」
男が叫ぶと、稲妻が骸骨を襲った。
何が起きたのか分からなかったが、その攻撃で骸骨の下半身が消し飛んだ。
「なあっ!? ば、ばかな!!」
ビネガーの慌てふためく声が聞こえたが、正直慌てたかったのはこっちだ。
骸骨は上半身だけになりながら、宙に浮かんで健在だった。
「は……はーはっははは! 見たか! これがジャンクドラガーの実力よ!」
骸骨の上半身が腕を振るう。
それが命中して、赤い髪の男も倒れた。
見渡すと、立っている人間は俺だけになっていた。
98
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:36:38.49
ID:xQnE23co0
ktkr
99
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:38:01.86
ID:YrhcQrwc0
wktk
ブーンから授かった力が今…っ
100
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
sage
2006/10/18(水) 04:38:21.84
ID:84IrxsCpO
干しにくってそんなでかいのかな?
101
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:40:37.77
ID:TMQ0MXuUO
クロノーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
102
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:41:26.71
ID:aomPaYR60
「さて残るは……貴様ひとりというわけか」
ビネガーのいやらしい声も、こんな状況では恐怖を感じずにはいられなかった。
「これでゼナンの橋は制圧したも同然。魔王様もお喜びになるだろう」
「う……うあああああああああっ!!」
魔王という言葉を聞いて反射的に体が動いた。
ここで俺が食い止めなければ、ガルディア王国は滅ぼされる!
「……ぐうっ!」
だが俺の突進は骸骨に阻まれた。正面から胸を突かれ、悶絶する。
「愚かな奴め! やってしまえ、ジャンクドラガー!」
地面を転がりながら敵の攻撃を回避するがどうしようもない。
いずれ追いつかれて殺されるだろう。
やぶれかぶれになって俺は骸骨に殴りかかった。
103
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:44:18.37
ID:HnovizNa0
朝からありがたいスレじゃ
104
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:45:17.29
ID:aomPaYR60
……分かっていた。
城の厨房で騒ぎ立てていた男……。
そいつは俺に正しい力があると言った。
夢見る力を授けると言った。
……分かっていた。
こんな状況で敵に殴りかかる俺の力がどんなものなのか。
……分かっていた。
俺には、正しい力も夢見る力もありはしない。
骸骨に掴みあげられ、俺は橋に叩きつけられた。
105
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:45:41.52
ID:wy8nwfHW0
クロノトリガーだw
106
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:46:58.70
ID:g+2Ln/84O
こりゃ寝れねえぜ
107
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:52:06.19
ID:xQnE23co0
ksk
108
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:53:16.50
ID:aomPaYR60
混濁する意識の中でビネガーの高笑いが聞こえた。
ああ……何事か、嬉しそうに喚き散らしてやがるな……
頭にくるぜ。
力も何もない俺は、ここでぶっ倒れてるだけだっていうのに。
友人たちの顔が浮かんでは消える。
走馬灯というやつだろう。
森にいるモンスターどもとは、この骸骨は違った。
まったく歯が立たない。強い。こんなに強いモンスターなら、国を滅ぼしてもおかしくない。
こんなに強いモンスターが国を滅ぼす……?
「諦めるかよ……!」
気が付けば俺は立ち上がっていた。ビネガーが驚愕の瞳を俺に向ける。
「王妃様は言った……魔王軍に屈するなと……!」
武器を杖に立つ俺の姿は弱々しいだろう。それは分かっている。
「だから俺は諦めない! 必ずお前たちを食い止めてやる!」
「どうやって食い止めると言うのだ? そんなボロボロの体で」
嘲るようなビネガーの声を無視して、ただ立ち向かう。
逃げるのではなく、立ち向かう。
109
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:56:10.53
ID:jUSc86T0O
ほしゅ
110
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:56:58.78
ID:xQnE23co0
あー眠れない
111
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:58:47.17
ID:84IrxsCpO
>110
同意
112
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 04:59:50.99
ID:xQnE23co0
明日面接なんだよーう
寝かせろよーう
よーうよーうま
113
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:00:44.57
ID:88YKgLXtO
クロノトリガーやってみようかな
114
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:03:01.53
ID:aomPaYR60
……だが、ブーンが俺に授けた力とは何なのだろう。
夢見る力。それは一体どういったものなのか。
俺は右手を掲げた。
込める力は祈り。どうかこの世界に平和を。
そんなバカみたいな気持ちが、手のひらに力となって集まる。
光り輝く俺の右手を見てビネガーは嘲笑した。
「甘いわ! ジャンクドラガーの上半身には光の魔法は通用せん!」
だがその嘲笑は聞こえなかった。
……代わりに、ブーンの声が聞こえた気がした。
「君に伝えた力は無敵の力だお。恐れることはない……解き放つお!!」
「うおおおおおおおおおっ!」
手のひらの光は極大にまで膨れ上がっていた。
国を、みんなを、王妃様を守るための力。夢見る力。
それを、呪文に乗せて解き放った。
「エターナルフォースブリザード!!!!11111」
115
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:03:28.20
ID:YrhcQrwc0
>>113
王道RPGだし食指が動いたならやってみるべし
116
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:03:44.69
ID:RowTGuWW0
まじで寝れないな・・・
ところでお前らはクロノのパーティーどんな感じだった?
117
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:04:11.89
ID:aomPaYR60
エターナルフォースブリザード
一瞬で相手の周囲の大気ごと氷結させる。
相手は死ぬ。
当然骸骨も死んだ。
118
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:05:18.52
ID:RowTGuWW0
ここでエターナルフォースブリザードかよwwwww
119
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:06:32.39
ID:DWfv8BKsO
反則技じゃねwwwwww
120
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:07:06.53
ID:XkyK6chuO
邪気眼吹いたwww
121
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:07:21.52
ID:y5Hpi03r0
こいつはwktkだ!
122
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:07:30.58
ID:aomPaYR60
「ば、ばかなあああああ! ジャンクドラガーが一瞬で!?」
ビネガーの悲鳴が聞こえるが、もう俺も動けない。そのまま橋の上に突っ伏して……
……ああ、誰かが俺を運んでくれている。
それもものすごい速さだ。
だがそれに任せて城にまで帰れるのならば好都合だ。
傷を癒して眠りたい……
勝利の報が届いた賑やかな城内で、俺はひたすら眠った。
123
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:08:57.86
ID:i396RoWC0
>>114
ちょwwwwwwwwwwww夢見る力ってソレかよwwwwwwwwwwwwwww
124
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:10:06.28
ID:aomPaYR60
まさか第一章「夢見る力・エターナルフォースブリザード」に4時間かかるとは……
さすがに眠いんでそろそろ寝ます。
みなさんも良い夢見てください。
スレは落とすなり適当にどうぞ。
125
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:10:59.78
ID:jb0kkGD30
>>124
ちょwwwwwww第一章ってことは第二章・第三章とかもあのかwwww
これは期待wwwwwwwww
126
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:11:23.66
ID:5lypUboqO
黒の酉ガークリアしなかったなぁ(´・ω・`)
127
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:11:30.20
ID:b4zx3UFj0
ちょwwwwwwwwこれで終わりかよwwwwwwwww
乙
128
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:12:15.28
ID:BEMEFcfrO
>>1
乙!
おれも寝る
129
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:12:20.43
ID:YrhcQrwc0
>>124
乙www
まさか落ちの技がそれとはwwwwwwwww
俺も氷結して死ぬかと思ったわwwwwwwwwwwww
てか一章って事は勿論続編を期待して良いんだよな?な?
130
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:12:51.62
ID:i396RoWC0
>>124
次スレは【コック見習いに魔王が殺されました】ってスレタイで
131
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:13:31.25
ID:+EMnzclfO
乙です
エターナルなんちゃらは何のゲームのわざ?
132
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:14:17.61
ID:aomPaYR60
受けが良さそうなら続編もやろうかと……
>>130
スレタイ了解。
133
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:14:53.36
ID:y5Hpi03r0
>>124
乙!来て早々終わってしまったが、面白かったよ!
で、次はいつ立てる予定?
134
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:15:01.67
ID:idUKM79lO
これ元ネタなによ?
135
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:15:31.23
ID:k6ZNoxHZ0
クロノトリガー序盤のところでバグったんだよな・・・
面白かったけどちょっと古かったからやめたんだが
続きやったほうがいいかな?
136
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2006/10/18(水) 05:15:54.44
ID:wy8nwfHW0
>>134
クロノトリガー