四分間隔の設定

それでは作成講座の本題ともいえる、四分間隔について説明しましょう。

1.四分間隔とは?(予備知識)
  ダン☆おにを作るとき、必ず聞かれる言葉があります。
  それは「四分間隔を間違えるな」という内容のものです。
  ……多くの方が思ってきたことでしょう。
  間違える前に、四分間隔が何なのかすら分からない、と……
  今まで誰も踏み入ったことが無いほどに詳しく説明したいと思います。

  まずはこちらをご覧下さい。

音符

  これらを全く見たことが無いという人は稀有でしょう。
  総じて音符などと呼びますね。
  ではこれらの名称は分かりますか?
  まぁ、特にクイズにする気も無いので答えをさらっと言ってしまいますと、
  左から順に、全音符付点二分音符二分音符付点四分音符四分音符付点八分音符
  八分音符十六分音符ですね。

  はい。じゃあこれがダン☆おににどう関係あるのかと思った方。
  耳をかっぽじってよーく聞いてくださいなw
  音というものは、大きく分けて4つの要素で出来ています。
  その4つとは、長さ大きさ高さ音色です。
  音の長さとは、どれだけの時間音が鳴っているかということですね。
  同様に音の大きさとは、どれだけの大きさの音なのかということ。
  音の高さとは、女性は高くて男性は低いっていうあれです。
  音色だけ、聞いたことはあっても意味はよく分からないかもしれません。
  音色っていうのは、どんな種類の音なのかを指すものです。
  ピアノの音、トランペットの音、人間の声の音……それらを区別させるのが音色という要素です。
  ……さて、これら4つの中でダン☆おにに関わってくる要素はどれなのか?
  答えはほぼ全てです。
  「音楽に対してアクションを起こす」という音ゲーとしての側面を考えると、4つ全てを意識してもおかしくないです。
  ただ、重要度は違います。
  個人的な見解を述べるなら、ダン☆おにに対する重要度は、長さ>大きさ≧高さ>音色 といった感じでしょうか。

  そうです。長さがとにかく大事なのです。
  特に今回のテーマである四分間隔とは、「音の長さ」に関するものなのです。

2.小節と拍の概念
  四分間隔。
  この言葉の意味を考えてみましょう。
  ……見たままです。「四分」の「間隔」なのです。
  つまり四分間隔とは四分音符が鳴り始めてから鳴り終わるまでの間隔なのです。
  詳しく説明しましょう。
  音楽の授業などで「楽譜」というものを見たことがあると思います。

楽譜

  こういったものですね。
  先ほど説明したように、これの一番左の音符が四分音符ですね。
  それはともかく、この画像から読み取れる知識を説明していきましょう。
  まず縦に線が入ってますよね。
  これで区切られるゾーンを、「小節(しょうせつ)」と呼びます。
  一つ目の区画を1小節目と数えたりもします。
  これは一体どういった基準で区切られたものなのかと言いますと、ある長さを基準にしてます。
  それは「四分間隔が4つ分の長さ」です。
  なぜそんなことが分かるのかというのは、左側にある「4」を縦に並べた記号が示しているからです。
  これの意味するところは、「この楽譜は4分の4拍子の曲を表してますよ」というものです。
  4分の4拍子とは読んで字の如く、「“四分”音符が“4つ”で一小節」ですよ、というものです。
  ということは同様に4分の3拍子や、8分の7拍子といったものまであります。
  とはいえ、最も頻繁に見かけることになるのは4分の4拍子でしょう。
  というわけで本項では4分の4拍子の楽曲を中心に説明をします。
  その他のものに関しましては、またいずれということで。

  さて。「“四分”音符が“4つ”で一小節」と言いましたが、先ほどの楽譜をご覧下さい。
  四分音符以外の音符も並んでいますね。
  これから四分音符以外の音符の長さについて説明します。
  はっきり言って、ダン☆おに作りで非常に重要な要素となります。心してどうぞ。

音符

  この中で最も左にある、白い○だけの音符を「全音符」ということは先ほど説明しました。
  全音符とは「1小節全部の長さ」を表す音符です。
  ということで、全音符の長さをとしましょう。
  次に、左から3番目の音符についてです。これは「二分音符」でしたね。
  二分音符とは「全音符を“二”つに“分”けた“音符”」ということを表します。
  つまり二分音符の長さは1÷2で、2分の1です。
  これをどんどん同じ要領で繰り返します。
  四分音符は4分の1、八分音符は8分の1、十六分音符は16分の1です。
  ……では、「付点」とは?
  「付点」のついた音符がいくつかありますが、付点の意味は以下の通りです。
  「ついている音符の長さを1.5倍する」というものです。
  1.5倍……つまり自身の長さの半分を自身に加えるということですね。
  「付点四分音符」は四分音符にその半分の長さを加えるので、(4分の1)+(8分の1)=(8分の3)の長さですね。
  分かりやすく図にしてみましょう。

音符

  長さを数字で表すと以上のようになります。
  もう少し分かりやすくするために、分母の最小公倍数である16をかけてみます。

音符

  ……これでそれぞれの音符の長さの関係が分かりやすくなりました。
  しかもこの表は音楽知識の肥やしになるだけでなく、ダン☆おに作りの上でも極めて有用なのです。
  どのように有用なのか。
  前フリが異様に長いですが、いつか理解を得た段階で読み返して、その理解を深められるよう書いてますので、
  ご了承下さい。
  次の項目に参りましょう。

3.BPMとは?
  四分間隔とは四分音符が鳴り始めてから鳴り終わるまでの間隔と言いました。
  次の議題は、「どのようにして四分音符を探知するか」です。
  最初に言ったとおり、音には4つの要素があります。
  同様に「曲」という音の集合にも様々な要素があります。
  とりあえず今回考えてみるのは「速さ」です。

  一般的な楽譜では曲の速さを四分音符が一分間にいくつ入るかで決めます。
  一分間整然と四分音符を鳴らし続ければ、何個分入るのか。
  多ければ多いほど当然曲調は速くなりますし、逆も然りです。
  そこで、音楽のそういった性質を利用して、曲の速さを測ることになります。
  四分音符が一分間にいくつ入るかの値を「BPM」と呼びます。
  (Beats Per Minute でしょうか。自信無いです)
  このBPMが分かれば、四分間隔もたちどころに判明する、という寸法です。

  そのためにはまず、エディターに付属してついてきたBPM計測ソフトを起動します。
  そしてBPMを計測したい曲を再生して、説明書どおりに動かすわけですね。
  ……ここで本題。

  どういうタイミングで押せばいいの?

  ……長かった。ようやく作成講座を作ろうと思い立ったところまで来ました。
  ここが正念場です。
  この作業でしくじると、四分間隔を間違えたズレズレ譜面を公開する(後悔する)ことになるか、
  ひたすら手直し作業をすることを強いられることになります。
  できるだけ正確な値をはじき出しましょう。

  では早速ですが、曲を再生しながら手拍子を打ってください。
  パン、パン、パン、と小気味良く、リズミカルに。
  できましたか?
  他にもその曲で入場行進するつもりで右、左、と足踏みしていただいてもOKです。
  シャイな方ならリズムに乗って、首を上下に揺らすだけでも問題ないです。
  これらの動作には純然たる共通点がありますね?
  必ず一定のタイミングでアクションを起こしているはずです。

  ……とはいえこの感覚は磨かないと身に付かないものかもしれません。
  僕自身には問題なく備わっていた気がしますが、そうでない方もいるかも。
  具体的には、指揮者っていますよね?
  彼らと同じタイミングで指揮棒を振れるかどうかですね。プロとかではなく、学生レベルで。
  あれも同様に一定のタイミングでアクションを起こすものなのです。
  まぁいずれにせよ、それが出来ることを前提に話を進めます。
  よく分からない人は僕に聞くよりも、身近な音楽好きに質問する方が効果的でしょう。
  実地で見ないと分からない部分もあるかもしれませんし。

  さて、BPM計測ソフトの使い方ですが、簡単です。
  説明書のとおりの方法で、前述のタイミングでポチポチと押す。
  するとBPMの値と、四分間隔の値が出ますね。優れものです。
  上手くいけばその値が、その曲の四分間隔ジャストミートかもしれません。
  それに、違っても焦る必要は無くて、手作業なりなんなり修正はいくらでも可能です。
  ところで、BPMと同時に分かる四分間隔。
  一体どういう関連性があるのでしょうか。

4.BPMと四分間隔の関係
  (四分間隔)=四分音符が鳴り始めてから鳴り終わるまでの間隔の値
  (BPM)   =四分音符が一分間にいくつ入るかの値
  ……ですね?
  鍵を握っているのは四分音符のようです。
  いずれにしても四分間隔の値はフレーム数で表されます。
  するとBPMの基準となる時間は(一分)=(3600フレーム)になります。
  (ダン☆おにでは基本的に1秒=60フレームで作成することは先述のとおり)
  ということは3600フレームの中にいくつ四分音符が入っているかが、BPMですね。
  BPMはBPM計測ソフト、または同様のツールを使用しないと分からないので、それで計測します。
  ということは、3600フレームをBPMで割れば、四分音符の長さ=四分間隔が計算されるということです。
  式にすると以下のとおり。

  (四分間隔)=3600÷(BPM)

  まったくの余談でしたが、こんなところも豆知識として知っておくと、作成時に役立つでしょう。

5.四分間隔とエディターの関係
  こちらをご覧下さい。見慣れたエディターです。

エディター

  通常、楽譜というものは左から右に進みますが、エディターでは上から下に進みます。
  そして、縦にマスがありますね。
  それが楽譜で言う音符を表します。
  長い音ならばマスを多く取り、短い音ならばマスが少ない。
  具体的には? 1マス分の間隔が八分音符に該当します。
  ということは四分は2マス、付点四分は3マス……以下略。
  各々音に合わせて譜面を配置していくだけ……って、ちょっと待った。
  八分が1マスなら、16分音符はどうすればいいのか。
  案外この疑問に悩む人は多いようです。僕の知る限りでも数名います。
  どう見ても16分が必要なタイミングなのに入ってない。そういう人は見れば分かります。
  さぁ、解決してしまいましょう!

  こちらをご覧下さい。

音符

  今の状態と、この図の状態では関連性こそあるものの、決定的な違いがあるのが分かるでしょう。
  それは、四分音符は2マス分なのに、書いてある数字は4であるということです。
  ここら辺に、四分間隔と呼ばれるものの疑問があるのです。
  まずは解決法。

  四分間隔の値を半分にしてください。

  こうすることで、今まで二分音符だった長さが四分音符の長さになりますね。
  ということは、それぞれの音符に費やすマスの数は図の通りになります。
  この辺りの歴史はまた気が向いた方に語っていただくことにして、次いきましょう。

6.四分間隔がズレているとどうなる?
  さて、口を酸っぱくして言いますが、四分間隔はダン☆おに譜面の最大のキーポイントです。
  これがズレていると、四分音符ひとつごとにタイミングがじわじわズレます。
  それはプレイしているときに、最もイライラすることの一つだと言うことはご存知の通りです。
  プレイする側の立場になれば、四分間隔をズレさせることは許せないことだと分かるでしょう。

  また、もう一つ超重要な注意事項があります。

  BPM計測ソフトで出た値を過信しないで下さい

  もうこれだけでもいいので約束してください。
  「ツールで出した値だから安心」などと考えず、必ず自分の手でテストプレイしてズレを修正してください。
  特にBPM計測ソフトでは、BPMが小数である場合を計算できません。
  細かく計測しても、誤差が出る場合があります。
  そういうときは、エディターのほうで四分間隔の値を少しずつ変えていって調整してください。
  矢印の間隔が意図したものよりも徐々に広がるならば、値を小さく。
  矢印の間隔が意図したものよりも徐々に狭まるならば、値を大きく。
  この要領でやりましょう。

  また、四分間隔の値はあまり大きく変えると思わぬ規模の変更が起こります。
  基本的にまずは値を1ずつ変えていく感じで、慣れたら的確に変えていきましょう。

  最終的には小数点以下第二位までは計って欲しいものです。
  3分を超えるような曲ならば、小数点以下第三位まで考えましょう。


  ……と、書いていましたが。(以下追加分)
  当然それで不十分な場合も大いにありえます。
  2007 3/28返信分のweb拍手での指摘が非常に理論的でしたので引用させていただきます。
  (引用部は黄緑色で表記します)
  えー。
  ダン☆おにで、曲の最後に来る矢印を1フレーム分動かすためには四分間隔をいくつ変えればよいのか。
  それは四分間隔÷音楽の長さ(フレーム単位)です。
  例も引用させていただきますと、120秒の曲で、四分間隔が12だとします。
  すると、12÷7200=0.0017 だけ四分間隔を変えると、1フレーム動くということですね。
  つまりこの例で言うと、
  0.0017なら、大体0.002とみなして、小数第三位が0か2か4か6か8か、くらいで決める必要がある

  というわけです。
  引用ばかりでは芸が無いですので締めの言葉ぐらいは自分で考えます。
  ダン☆おにの譜面作成の上で、四分間隔は最も大事なものだと言いました。
  が、それはあくまである「目標」を達成するためのものです。
  その「目標」とは、ズレの無い譜面を作ることですね。
  それをまずは念頭に置いてください。
  「四分間隔を小数点以下四位まで合わせたから安心」とかではないです。
  あくまで「ズレを無くすために、徹底的に四分間隔を合わせる」ということを心がけてくださいな。
  良譜面っていうのは、その後に自然とついてきてくれます。

  今回ご指摘いただいたそれは秘密さん、ありがとうございます。(以上追加分)

  ……整数値でズドンと決まる曲も中にはあるんですけどねw


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